さて問題。子どもに注意をするとき「叱る」「怒る」のどちらが正しいでしょうか。正解は「叱る」です。同じように見えて実は全くの別物。叱っているようで、ただ単に怒りを子どもにぶつけている人いませんか?「しつけ」と称して怒ってしまっている方必見!上手に怒りをコントロールし、親子の信頼関係を深める叱り方のコツについて、伊丹 恵理奈 氏(日本アンガーマネジメント協会マネジメントコンサルタント)にご講演いただきました。
まずは「怒り」について考えてみましょう。「怒り」とは人間にとって自然な感情の一つであり無くすことはできません。ですから上手にコントロールすることが必要なのです。例えば、コップに水を入れていくといつか溢れ出てしまいます。あなたは溢れないよう直前で手を止めることでしょう。ここで言うコップとはあなたの心。そして水が「怒り」に変身するネガティブ感情なのです。コップにもいろいろな大きさがあるように、心の許容量も人それぞれ。ですから、怒りとなる(水が溢れ出す)瞬間は自分自身でコントロールすることが必要ということですね。
では、どのようにコントロールすれば良いのでしょうか。
1つ目は衝動のコントロール。「怒り」の感情にはピークがあり長くて6秒!この6秒間に深呼吸をしたり自分へのポジティブ言葉を唱えたりと、時間をやり過ごすことで脳の意識をそらします。そうすることで最悪の「怒り」から免れることができるのです。
2つ目は思考のコントロール。自分の願望や欲求を象徴する「べき」という言葉。「こうするべきだ!」「こうあるべきだ!」といった、一見正しいように思える「べき」ですが、この言葉には自分と他人とでは基準が違います。自分の思うまま相手に伝えても、相手と基準が違うのですから意見が噛み合わないのも当然。ここまでは許せる、大丈夫といった自分の基準を明確にし、相手の「べき」に近づこう、理解しようと努力してみてください。そうすることで、なぜ怒られるのかが相手にも伝わるようにもなり、気分ではなく基準で怒ることができるようになります。
3つ目は行動のコントロール。最終、怒るか怒らないかはあなた次第。イラッとした理由がどうしようもなく仕方のないこと(変えられないもの)であれば怒っても仕方ありません。そういう時は自分自身の行動や考え方(変えられるもの)を変えるか、その事実を受けとめる、ときには、ほっておくことも大切です。怒る前に行動のコントロールを心がけてみましょう。
この3つの暗号こそがアンガーマネジメント。「アンガー」とは怒り「マネジメント」は後悔しないという意味です。怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようになることなのです。
それでも、怒る必要がある場合、相手への言葉掛けを「なんで?」から「どのようにすれば?」に変えることで怒り上手に。「なんで?」は言い訳を引き出す言葉で、自分のための質問。この言葉を「どのようにすれば?」に変えることで、解決策を生み出し相手のことを考えた質問となりますよ。
怒り上手になるためのポイント!
① 怒る目的はリクエスト。何をどうしてほしいのかを伝える。
② 感情で伝えるのではなく、感情を伝える。
③ 原因より解決思考で未来へ目を向ける。
イラッとしたらまず6秒!親として後悔しない怒りを今日から始めてみませんか?